WritingWrite's Note

松田優という名前の、物書きのはしくれのブログです。

『ドミノ倒れ』のおはなし

いよいよ本日放送です。

Kiss-FM KOBE

バンディーズWhat's Going On』番組内コーナー

『クローズアッププロジェクト』21時10分〜

http://radiko.jp/#!/ts/KISSFMKOBE/20190519210000

↑ラジコでなら配信後1週間以内であればいつでも聞けますが、プレミアム会員登録(月額350円)が必要です。


19日、26日と2週連続で出演させていただきました。

本日放送分はオリジナル長編小説『ドミノ倒れ』についてのお話です。

少しの時間、お耳を拝借できましたら大変光栄に存じます。

 

本日放送なので、もう何も隠すこともないでしょう。ということで、ラジオでお話した内容と同じことだったり違うことだったりをつらつらと、ネタバレしない程度に書き述べます。

読んでくださった方から「絶対にネタバレしちゃダメ!!」と言われたので……

 
★『ドミノ倒れ』あらすじ~~~

同じテレビ局を親会社に持つ番組制作会社2社のスタッフ間で、暴行事件が起きます。

目撃した2人の上司は保身のために通報しません。

被害者、加害者、被害者の上司、加害者の上司。

彼らは、「問題」を解決するために「正しい」と思う行動を取ります。

いったい誰の思いが報われるのでしょうか?

 ~~~ここまで。

 

ものすごく軽いまとめ方をすれば「現代社会問題あるある」です。

物損も外傷もない犯罪被害、ジェンダー問題、雇用問題、社内政治問題などなど、よく耳にする問題の中で、私が語れるものを物語に仕立ててみました。

 

このお話は、すでに何人かの方から感想をいただきました。

「あいつのことが許せない!!」という人もいれば、「あいつには同情してしまう」という人もいます。むずかしい顔をして「加害者は、なんか憎めないんだよなぁ」と言った人もいて。

読んだ人みんなが違う感想を抱くんです。

ではどう思うのが正解かというと、正解はないというのが正解で、読んだ人が正解と思ったことが正解で、その正解はほかの人にとって正解でないこともあるというのが正解です。

三者三様の感想がいただける小説」を目標として書いたので、こうした感想をいただいて、すでに何かを成し遂げた気分です。

恐らく、時間を置いて改めて読むと、感想が変わるのではないでしょうか。書いた私自身、その時に置かれている状況で感想が変わりました。

 

同じ暴行事件に対して……なのに、主人公4人は、それぞれ「問題」だと捉える点が異なります。それぞれが抱いている「正義」が同じではないからです。

誰が正しいのか、誰が悪いのか、そもそも正しいとか悪いとかってなんだったっけ、というような「事件の中での混乱」も、テーマのひとつです。

物損も外傷もない事件を前にして、正しさを見失い、モラルを手放していく。そうして手にする結末って、いったいどんなものなんでしょうね。

 

 

そうはいっても、「現代社会は終わっている」ということが言いたくて書いたわけではありません。

現代社会にはこうした問題が溢れているのに、なかなか語り合えない。

「より多くの人と語り合うにはどうすればいいか?」と考えて、「1つの事件」を軸に「4人」の思いを徹底的に描いて共通イメージを作る、という考えに至りました。

誰にもわかってもらえずに死んでしまう人がいる。社会的にも、身体的にも。

そういう人がひとりでも減ればいい。ひとりでもいいから立ち上がってほしい。

そういうエゴイスティックな考えを、説教くさくせずに語り尽くしたくて書いた小説です。こんなに書くのがしんどい小説、はじめてでした。

けど、「書いてよかったなぁ」と思います。

「読んでよかったなぁ」とひとりでも多くの人に思っていただければ幸いです。